ガーデニングをしていると、植物の生態の不思議、その逞しさに感動します。
そして、ふとお庭や道端を見ると誰に世話をされるわけでもなく、そこに逞しく生えている雑草の存在が気になってきたりします。

どうして雑草ってこんなに逞しいんだろう…。
踏まれても踏まれても、抜かれても抜かれてもめげずに生えてくる雑草。
時にはその存在が煩わしく、ガーデニングの悩みの種になることもあるわけですが、一方でその健気さに心打たれることもあるわけです。
そんな身近な雑草を中心に、その生態を紐どきながら、植物から学ぶ大切な「生きる」ヒントが書かれている本が「大事なことは植物が教えてくれる」です。





こんにちは!ariといいます。園芸店に4年勤務、寄せ植え教室の講師を務めていました。今も庭はありませんが自宅でガーデニングを楽しんでいます。
この記事では「大事なことは植物が教えてくれる」のご紹介をします。
・なぜか雑草を見ていると元気になる。
・心に染み入る本が読みたい。
・背中をそっと押してくれるような本を読みたい。
そんな方にぴったりの本のご紹介です。
「大事なことは植物が教えてくれる」とは
雑草や野草が出てくる著名人の言葉とともに、その植物の生きざまが紹介されている「大事なことは植物が教えてくれる」。
この本を書いた著者はどんな方なのでしょうか。
著者について
引用:amazon
1968年静岡県生まれ。静岡大学大学院農学研究科教授。農学博士。専門は雑草生態学。農林水産省、静岡県農林技術研究所等を経て、現職。著書に、『生き物の死にざま』(草思社)、『身近な雑草の愉快な生きかた』(ちくま文庫)、『面白くて眠れなくなる植物学』(PHPエディターズ・グループ)等、多数。
著者の稲垣栄洋(いながきひでひろ)さんは雑草生態学がご専門の農学博士。
雑草生態学という学問がある、私はこれを知った時なんだかワクワク!しました。
全ての園芸品種には原種があって、その地に自生している野草や雑草が品種改良されて、美しい園芸品種が誕生しています。
植物を上手く育てるコツは、その植物の特性や自生地の環境を知ることが大切です。
園芸品種のご先祖様であることもある雑草の専門家、稲垣栄洋さんが書かれている本ということで「読んでみたい!」と手に取りました。
稲垣栄洋さんについては「就職ジャーナル」さんの『稲垣栄洋さん(雑草研究者)の「仕事とは?」』の記事で、詳しくご紹介されていましたので、よろしければ是非読まれてみてください。
稲垣栄洋さんと雑草との出会い~仕事に対する考え方まで、とても魅力的にご紹介されています。
「大事なことは植物が教えてくる」の3つの魅力
「大事なことは植物が教えてくれる」は植物が登場する著名人の言葉や歌詞などを紹介しながら、その植物の生態の解説と共に、植物から学ぶ生きるヒントが書かれています。
本書の魅力は、
①植物が出てくる著名人が紡いだ「言葉」と出会える
②植物の知られざるしたたかで戦略的な生態を知ることができる
③植物から大切な生きるヒントや勇気を学べる
この3つ。
それぞれ詳しく説明します。
植物が出てくる著名人が紡いだ「言葉」と出会える
雑草生態学、農学博士。
そんな風に聞くとなんだか小難しいことが書かれているのかな?
というイメージもあるかもしれませんが、本書はとても気さくで読みやすい本です。
岡本真夜さん
乃木坂46
The ALFEE
ヒロシさん
などの歌手やタレントさんの歌詞や言葉が紹介されていたり、
本田宗一郎さん
松下幸之助さん
日本を代表する経営者の言葉。
そして、
与謝野晶子
五木寛之
小林一茶
などの文豪まで、幅広いジャンルの方々の言葉が引用されています。
その言葉はどれも共感でき、学びのある言葉です。
著名人の方々も身近な雑草や植物を見て、様々なことを感じ取り生きる糧にしたり、大切なことは何かを考えたりして言葉を紡いだことを考えると、なんだか勇気をもらえます。
植物の知られざるしたたかで戦略的な生態を知ることができる
「大事なことは植物が教えてくれる」には、身近な雑草を中心に植物の生態が紹介されています。
・なぜタンポポは踏まれても咲くのか
・アスファルトから芽を出す雑草の戦い
・スミレが紫色である理由
雑草や植物は生き抜くために、長い長い年月をかけて進化してきました。
その様子は健気というよりも、その場所でナンバー1になるためにとても戦略的です。
葉の形にも、花の色にもそうなった理由があります。
それらが、著名人の言葉をフックとして分かりやすく紹介されています。
いつも見かけるあの花が、どうしてあんな形になっているのか。どうしてそんなところに生えているのか。
その理由が分かると、植物への理解の幅が広がり、育てる楽しさもより深まります。
植物が教えてくれる大切な生きるヒントや勇気をもらえる
「大事なことは植物が教えてくれる」は、植物が出てくる著名人の言葉と、その植物の紹介にとどまらず、それらを通して学ぶことができる稲垣先生からの言葉が添えられています。
うつむいていい。くじけていい。落ち込んでいい。
引用:amazon
ここ一番は全力で光あび咲き誇れ
アシのように風をかわし、ナズナのように冬を耐え、
花咲くときはハルジオンのように上向いて。
これらは本書に出てくる稲垣先生からの言葉。
植物がどのようにそこで生き残り、花を咲かせ、子孫を残すために戦っているかを分かりやすく紹介しながら、時には疑問を投げかけ、背中をそっと押してくれるような言葉で、植物たちの生きざまから学べることを稲垣先生は教えてくれます。
それらの言葉は、馴染みのある植物の姿を想像しながらじんわりと勇気を与えてくれるのです。
心に染みた箇所
「大事なことは植物が教えてくれる」には心に染み入る素晴らしい言葉がたくさん出てきます。
その中でも今の私にとても響いた言葉を1つだけご紹介します。
何も咲かない寒い日は、
引用:大切なことは植物が教えてくれる
下へ下へと根を伸ばせ。
やがて大きな花が咲く。
この言葉はシドニーオリンピックの女子マラソン金メダリストの高橋尚子さんの座右の銘とする言葉として本書で紹介されています。
この言葉に対して稲垣先生はこのように綴られています。
気候が良い時には、植物は上へ上へと目に見えて伸びていきます。
引用:大切なことは植物が教えてくれる
しかし地上の成長ができないときには、植物は下へ下へと成長します。
この成長は目には見えません。
大切なのは、今が上へ伸びるときなのか、下へ伸びるときなのかを見極めることなのでしょう。
引用:大切なことは植物が教えてくれる
誰しも何かにチャレンジしていたり、目標があっても目に見えて成果が出ない時、こんなことやっていて本当に意味があるのかと感じてしまう時ってありますよね。
そういう時は本当に苦しいですが、この言葉をお守りとして持っておくと勇気が出るのではないでしょうか。
私も、ずっと夢だった自宅の庭づくり、そしてその先にある実現したいことに向けてしっかり土台作りを頑張ろうと、この言葉に励まされました。
「大事なことは植物が教えてくる」感想まとめ
植物の逞しい生きざまから勇気や大切なことを教えてくれる「大事なことは植物が教えてくる」。
身近な植物がどのようにそこで生き抜いてきたのか、どうしてその姿形をしているのか、その生態が分かりやすく解説されているので、植物のことをより理解するとっかかりになる植物学の入門書としても最適です。
またこの本は勇気づけてくれたり、生き方にも参考になる著名人の言葉たくさん出てくるので、植物好き、ガーデニング好きの方のみならず、
なんだか最近元気が出ない。
癒されたい。
勇気が出る言葉が欲しい。
そんな方にもおすすめの本です。
そして、この本を読むと毎日見かける雑草もまた違って見えてくるのではないかと思います。
美しい挿絵もたくさんあり、素晴らしい言葉と共に手元に置いておきたい一冊です。
また、同じく稲垣栄洋さんが書かれている「面白くて眠れなくなる植物学」も是非お勧めですのでよろしければご覧ください。

