【ハーブと人の関わりを探求する本】「ハーブの歴史」

ハーブの歴史レビュー
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ガーデニングをしていると、ホームセンターや園芸店で様々な種類のハーブ苗を見かけるので、ハーブがより身近な存在になりますよね。

私もそのうちの一人、可愛い園芸品種の花を育てているうちにハーブにも興味を持つようになりました。

ハーブについて調べてみると、それぞれが持つ効能やその活用方法などがあることが分かります。

中でも、やっぱり美味しく食べられるハーブは身近で育てる楽しみも倍増しますよね!

そんなハーブの主に食文化をメインに、どのように人々の生活に取り入れられ、広まったのか、その歴史について書かれている本が「ハーブの歴史」です。

ハーブと一緒にスパイスの話しも出てきます。

ハーブの歴史
ari

こんにちは!ariといいます。園芸店に4年勤務、寄せ植え教室の講師を務めていました。今も庭はありませんが自宅でガーデニングを楽しんでいます。ハーブも園芸品種の草花も大好きです!

今回ご紹介する「ハーブの歴史」は、もしかしたらちょっとマニアックな本かもしれません。

ハーブやスパイスが好き
ハーブやスパイスのルーツが知りたい
歴史が好き
料理や食文化に興味がある

古代から世界中の人々の暮らしに欠かせなかったハーブ。

その歴史や人との関わりをのぞいてみたい方におすすめの本です。

それではさっそくご紹介します。

目次

「ハーブの歴史」とは

「ハーブの歴史」の著者はフードライターであり、編集者のゲイリー・アレン

アレン,ゲイリー(Allen,Gary)

フードライター、編集者。ニューヨーク州エンパイアステートカレッジで食の歴史や文化を教えている

引用:楽天ブックス

フードライターということで、「ハーブの歴史」食文化の歴史が主体となって書かれています。

ari

ハーブは古代に薬草として利用されたところから人との関わりが始まりますが、本書は薬効についてよりも食文化について深堀りされていきます。

とはいえ、ハーブが薬草として人間の生活に取り入れられてきたことは避けて通れない話し。

歴史の話しは紀元前、初期の本草学者(ハーバリスト)たちの話しから始まります。

・紀元前2世紀に『植物誌』を著した「植物学の祖」といわれるテオプラストス

・紀元前1世紀に『博物誌』を著した大プラニウス

・同じく紀元前1世紀ころに『薬物誌』を著したペダニウス・ディオスコリデス

などの登場から、中世・近代では、

・5世紀に『本草書』を著したアプレイウス・プラトニウス

・1世紀に『薬物誌』を著したニコラス・カルペパー

などが植物学の観点、また薬草としてのハーブについて著した出版物の紹介と共に、その時代の背景も踏まえてハーブの歴史の話しが始まります。

「ハーブの歴史」の面白いところ3つ

「ハーブの歴史」で私が面白いと思った要素は以下の3つ

① ハーブという概念が歴史を知ることでさらに広がる
②歴史的出版物の図版がふんだんに掲載されている
③歴史的背景と共にハーブが世界にどのように広がっていったかが分かる

それぞれ説明します。

ハーブという概念が歴史を知ることでさらに広がる

ハーブと聞いてパッとすぐに思いつくものは何でしょうか?

バジル
ミント
ラベンダー
ローズマリー
タイム

恐らくこういった西洋のイメージが強いハーブを思い浮かべるのではないでしょうか。

ところが、ハーブを少し勉強すると「ハーブ」というものの定義が意外と難しいことが分かります。

「ハーブの歴史」も第一章は「ハーブとは何か?」というテーマで始まります。

そこでまず、ハーブの定義づけで必ず出てくる「ハーブ」「スパイス」の分類の話になるのですが、これがまた今日ですらとても曖昧なのです。

花が咲いたあとに枯れるものはハーブとか、葉や根、種子や根などの部位によって分類するとか。

そうすると、花が咲いても多年草のハーブは枯れないとか、同じ植物でもハーブになったり、スパイスになったりしてしまうなど、とても曖昧なわけです。

また、こういった定義のルールは植物学者、料理人、園芸家によっても違ってくるといいます。

ari

この激論は日本人では一般にはあまり馴染みのないものだけど、何がハーブで何がスパイスか、白熱した内容はとても興味深い!

さらには、ハーブと野菜の分類の曖昧さについても書いてあります。

例えばコリアンダーはハーブという認識のある方も多いと思いますが、ベトナムでは野菜なわけです。

そして、世界に目を移すと決して西洋のハーブだけが「ハーブ」と分類されるわけではなく、

アフリカ
アジア
アメリカ大陸
オーストラリア
ニュージーランド
南太平洋

いたるところに、それぞれに自生した「ハーブ」があることが紹介されています。

シソは日本では和ハーブと言われたりもしますね。

また「ハーブの歴史」では海苔海のハーブとして紹介されています。

全く聞いたこともないハーブもたくさん登場し、スパイスと思っているものまで入れると「ハーブ」の世界がものすごく広く、そして思っているよりも身近で私たちの生活にもたくさん取り入れられているのだということが分かります。

ari

ハーブについてもっと知りたくなる!

歴史的出版物の図版がふんだんに掲載されている

「ハーブの歴史」は5世紀のアプレイウス・プラトニウス著『本草書』から始まり、中世に出版された書物にある木版画などの美しい図版がたくさん掲載されています。

そこには、

コリアンダー
セージ
ディル
タイム
カモミール
ホップ

など耳慣れたハーブがあり、何世紀も前から人々の生活の中にハーブが取り入れられていたことをうかがい知ることができます。

ari

私たちが普段食べている同じハーブを、当時の人々も食べていたし、医療の現場でも活用されていた…。なんだかロマンを感じます。

中世の時代を感じる木版画は歴史的資料としても、美術品としても美しく、歴史好きな方にも興味をそそする要素がたくさんあります。

歴史的背景と共にハーブが世界にどのように広がっていったかが分かる

今日ハーブといわれる植物は、食卓で、代替医療として世界中で利用されていますが、そのハーブは世界にどのように広まっていったのでしょうか。

そこには人々の生活と、歴史的な出来事が大きく絡んでいます。

ハーブはそもそもその土地に自生する言わば「雑草」です。

そのため、ハーブはその土地その土地に暮らす人々の身近に自然とあり、その地域の生活に取り入れられてきた文化がありました。

やげて大航海時代が訪れ、貿易や移民と共に世界中に広まっていきます。

さらには第二次世界大戦を通しても、ハーブは各国の食文化と融合しながら世界中に広まっていきました。

「ハーブの歴史」ではその時代にどのようにハーブが人々の生活に取り入れられ、どのようにして広まっていったのか、時代背景とハーブの持つ特性と共に詳しく紹介されています。

ari

当時の人々の暮らしの中にハーブが取り入れられ、生活していた様子を想像するのも楽しい!

「ハーブの歴史」を読んで感じたこと

「ハーブの歴史」を読んで「ハーブとはいったい何なのだろうか?」と改めて考えさせられました。

スーパーで食材として置いてあるハーブは「野菜」と言っても良いかもしれません。

でも、何故ハーブというのか。

または野菜は何故ハーブといわないのか。

どうしてハーブは野菜や果物とは別枠で、その特別な地位を確立しているのか。

・一般的な野菜よりも香り高いから

・ハーブティーにしたり、クラフトにできたり、活用範囲が広いから

・栽培が割と簡単であることが多いから

・精油やとれたり、代替医療としても活用されるから

こんな理由が思いつきますが、厳密にいえば野菜やフルーツにも栄養価があって、ものによっては「〇〇に良い」など、風邪や病気の予防などに効果があるといわれるものもあります。

家庭菜園も盛んですよね。

そう思うと「ハーブ」というのは明確にこういうものだ!といえるものはない。

でも、確実に私たちの中でハーブってこんなもの!というイメージはある。

とても不思議な存在であるということを考えたりしました。

ari

考え出すと止まらない!

「ハーブの歴史」まとめ

「ハーブ」というとなんだかちょっと特別なもの、敷居の高い感じがしてしまいます。

でも実は古くから人間の暮らしに当たり前のように活用され、そして人類の歴史の中で世界中に広がり、様々な国の食文化が融合し、今は馴染みの料理も当時では全く新しい料理として誕生したものが多くあります。

そういったハーブの歩み、人との暮らしの関わりを歴史と共に書かれた「ハーブの歴史」

・ハーブを育てているうちに、ハーブに興味が湧いてきた

・古代というはるか昔から今日までハーブがどのように人の暮らしにかかわってきたのか

少し気になってきたら本書を手に取ってみてはいかがでしょうか。

またハーブの世界がまた広がっていくかもしれません。

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